一昨日群馬県渋川市にある介護施設に行った。この施設には私の兄の子が19歳から入所している。父親の兄が平成9年にすい臓がんで亡くなり、離婚を2度もしているので身元引受人が私以外いないので私がなるより他なくなっている。足立区の障害者年金継続に必要な手続きがあり、本人の印鑑が必要なので急遽出かけた。
 19歳の時ある事故により四肢麻痺と脳障害があり、19歳以前の記憶はあるがそれ以降の記憶はほとんどない。脳の成長は19歳で止まり、しばらくぶりで行っても時の経過を少しも感じてない。また本人も19歳当時のままで55歳になっても少年時代と容貌もあまり変わってない。何のストレスもなく毎日呑気に過ごしているせいか病気をすることも無さそうだ。
 この施設の理事長は素晴らしい方で、広大な敷地にキリスト教会はじめ何箇所も養護施設を併営している。職員の方々も皆親切でいつも行けば頭が下がる思いをする。社会問題にもなっているが此処も年々介護職員の減っているようで、一人当たりの負担は大変だろうと思う。邪魔になってはと思い早々に引き上げてきたが本人はあっけらかんとしているのが救いでもある。
 たまに伊香保温泉の近くに行くのでどこか温泉旅館に泊まってゆっくりしてきたらと言って、娘がじゃらんで「横手館」と言う老舗旅館を予約してくれた。築100年と言う木造建築で歴史的にも評判で料理も美味しいと言う旅館にはなっているらしい。ところが行ってみて驚いた。
 伊香保は階段の湯が有名だがその更に奥の山道で、急坂を上って行き、その旅館に行くのに細い山合いの路地みたいな道で車一台しか通れない。まず建っているところが狭く駐車場が無く、車のキーを預けて遠く離れた所に駐車することになっているらしい。
 評判通り木造の建築は写真通り素晴らしいものだったが、フロントに人がいなく、宿泊の手続きするにも中居さんがするのだが中々ことが運ばない。だいぶ待たされたが娘の期待にそぐわない素泊まりだという。
 料理も評判で娘は美味しいものを食べて来いと言ったが、急な申し込みなので食事は用意出来ないと言うではないか。一人二人分くらい出来なのかと言ったら、人手不足で予約を頂いるて分しか作れないと言う。
 部屋も新館だと言って木造の三階の上に三階増築したもので、木造りの部屋とは程遠い。1階に行くには迷路のようでビジネスホテルの方が気が利いている。
 来る直前にチェックインが4時半以降というので時間つぶしにお土産屋に寄ったりして土産物を数点買ってあったり、夜食にビールとおつまみは買っておいたが冷蔵庫はビールや酒、ソフトドリンクがびっしり入っていたが一本づつしか入らない仕組みなっていて、買っていった好きなビールやお土産やつまみ類も冷やせない。
 サービスの悪さについに頭にきた、その場から帰りたいと思ったくらいだった。名物の風呂もいくつかあったが、入浴時間が男女が夜中の12時で分かれていて、入りたい時には入れない。部屋に風呂は有ったが、これがまた手桶もなければ洗面器もない。部屋に置いてあるお茶も緑茶の色も無く、いれてみたら上手くもなんともないお粗末なものだった。
 伊香保温泉ではいろんな旅館に行ったことがあるが、皆良いところだった。食事も遅くなってもしっかり用意してくれた。我が生涯でこれほど酷い旅館に泊まったことがない、朝起きてすぐに帰ろうと思ったが、7時過ぎにならないと運転できるものが来ないと言う。
 7時半頃下に降りていったが新館から本館に歩いていったら、廊下が水浸しになっているところが2箇所もあった。5時頃に豪雨とも言える程音を立てて雨が降っていた、築100年と古いので雨漏りがするのだろう。人が居ないのか何の手当もしてないので泊り客が廊下に出たら驚くだろう。
 こんな旅館に泊まったことがない、じゃらんなどでの口コミでは大褒めで星5つ付いているのが随分あった。廊下が水浸しだったとフロントに告げようと思ったが余計なことは何一つ言うまいと黙っていた。じゃらんのサービスポイントで安くなっているのに支払い2万5千円は高過ぎだろう、ビジネスホテルの素泊まりの方がはるかにサービスが良く安い。
 駐車場まで旅館の車で送ってもらったが、文句ひとつ言わなかったが流石に運転していった男は申し訳なさそうな顔をしていた。
 昨日夕方会社に行ったら娘が孫と生物園のワークショップのハンコの用意をしていた。昨日一日で用意していったハンコが無くなってしまう反響の良さで喜んでいた。今日も完売すると言って張り切っていた。
 娘が何か美味しいものを食べたかというので、高速のサービスエリアで食べた塩ラーメンが美味かったと言ったら、何それ?というので実情を話した。それって酷い、じゃらんに文句言ってやると言っていた。私ら夫婦はこんな目にあったのも語り草になる、忘れ得ない一生の思い出話になると慰めた。