「お宅しか頼りにする所が無い、何とかして貰いまえか?」と言われると、何とかしてやろうとつい思ってしまう。
このところそんな仕事が集中している。
 昨日は大きなポリエチレン製のバケツにロゴ印刷するものだが、前回どこかで印刷したものが付いたまま持ち込まれていた。その印刷たるやインキが全く密着してない、爪の先でちょっと引っ掻いたらペラペラと剥がれ始め文字が形のまま剥がれてしまう始末で、しかもセロテープが付きにくいような素材で、はてさてこの素材に着くインキがあるかどうか試して見なければ私とて分からない。
 バケツと言っても大きな容積の物で、水を入れて運ぶようなものでなく、衣類なら何着入るか分からない、水など入れたら一人で持ち運べるようなものではない、部屋に置いておくと邪魔になるような物なんでも収納できるようなお洒落なインテリア風の入れ物だと思える。素材はポリエチレンの柔軟さを利用したものだろう。
 ところがこんな大きさのものをセット出来る印刷機など何処にもないだろう。前回印刷したものも綺麗に印刷できていたが、何か木箱のようなものを支えにして柔軟なポリエチレンを固定して手刷りしたものと思う。1個や2個ぐらいだったらこんな方法も良いが、数多く印刷しようとするとこんな方法では埒が明かない。
 こんな時に役立つのが「じざいくん」だ。昨日は大きなバケツをコの字型の受け治具を作り、バケツを宙吊りするような状態にし、その際に「じざいくん」をセットする。邪魔な取っ手部分を跨ぐように版をセットできるのが「じざいくん」の特徴とも言える。バケツは宙吊りだから、両面に印刷が直ぐ出来る。
 私が印刷してみせたら、家内も娘もワー綺麗と叫ぶように驚いていた。私がどんな装置で印刷するか想像も出来なかっただろう、ちょっとした工夫が不可能を可能にする。
 一晩おいて印刷インキが果たして密着してくれているかどうか今日会社に行って最初に剥離テストをしてみようと思っている。インキにもちょっとした工夫が要る、その工夫がズバリ的中しているかどうかも試されることになる。似たような素材に印刷してみて大丈夫だったインキだったから恐らく上手くいっていると思う。
 昨日はもう一つポットに印刷したものが爪で引っかいても落ないが、テープテストでは剥がれてしまう。此れも何処かで印刷してみてダメだったものだと思う。依頼者はテープテストなどすることはないだろうから、とにかく印刷に掛かりたい、製品を送って良いかというので結論が出るまで待ってくれと言ったら、お宅しか頼りにする所が無いので何とかしてくれと懇願されてしまった。これも大手メーカーの湯沸しポットだがベトナム製で素材が明らかになってない。正体のわからないものに印刷するのだから厄介だ。昨日印刷したインキは大丈夫だと思うが一晩置いてみないとその結果はわからない。
 昨日の午前は「なんでもくん」のユーザーだが、「なんでもくん」を使っていた社員が高齢で引退してしまった。社長も高齢で後継の孫を連れてきて「なんでもくん」の使い方を伝授してくれとやって来ていた。若いお孫さんは思った以上に飲み込みがよく、私が作ってみせた版で印刷してみて大丈夫だと言って帰って行ってくれた。
 午後一番にも先日シルクスクリーンの版をセットして差し上げ、直ぐに印刷出来るようにしてあったのだが、それで印刷がきれいに仕上がってないらしいので、印刷したものと版も何もかも持ってきてみてくれといったので持ってきた。
 仕上がりは全く収まそうもない出来で、同道した奥さんはこれじゃ駄目だというのに収めてしまうと言って言うことを聞かない、だから付いて来たようだった。持ってきた版も洗浄もよく出来てなくて、どんな使い方をしたのか想像もできない、恐らくスキージの操作も分からないのではないかと思ったがやはりそうだった。
 先日引き取りに来たとき手ほどきをして上げようとしているのに急ぐからと言って帰ってしまった。経験があるのかなと思ったが全くないらしく結果として昨日シルクスクリーン印刷のレクチャーすることになってしまった。
綺麗に印刷できるを知って奥さんもホッとしたと思う。
 以前「なんでもくん」でヘルメット9,000個も印刷したがそれもご主人は300個くらいであとは全部奥さんが仕上げたらしい。20人近い社員は道路の線引きで一日中居ないので手伝ってくれない、結局奥さんがやることになるのではないかと思う。その夫婦のやり取りが漫才のようで楽しかった。
 先日社員にと言って「元氣源」を購入してくれたが、その結果はどうだと聞いたが、まだ社員に会ってないのでわからないと言っていたが、社員はしっかりと社長を当てにしてないで仕事ができるようになっているらしい。
 市からの表示板の仕事を受けられるように別事業として看板屋を目指すと言っていたが大丈夫だろうか、とにかく我が社には色んな人が出入りする。
 一昨日の晩の「江東ブランド」の交流会で知り合った野田琺瑯の方が明日レクチャーに来ると言っていた。琺瑯のキッチングッズにカラフルな印刷ができるとまた違った展開になるだろう。
 伊勢丹相模原店で知り合った三味線屋さんが研修に来たことがあったが、昨日振り込んできた。この三味線屋さんもユニークな人なのでどんな発想で印刷が出来るのか興味津々とも言える。
 今日も午前は人が来ることになっている、午後は「あだち新製品開発講座」の参加企業訪問もあり、5時半からは区役所で異業種連絡協議会の定例会がある。一日の時間が短すぎる。