世間ではゴールデンウィーク初日と言う事で観光地は賑わっているらしいが、私は会社に行き、夕方にパッド印刷を勉強に来たいと言う人のため一日中仕事をすることにした。さすが昨日は電話も少なくのんびりと仕事に取り組めた。朝から近所に住む姪っ子を呼び出し彼女の得意とする線香の印刷をすることにした。
 新しいマーケットにチャレンジする方のためのサンプル作りと休み直前に入った「戒名香」2点を製作することになった。お戒名は宗派によって大分違いがある、宗派の違いもさることながらお戒名を作る坊さんによってなのだろうと思うが、表現する文字も当用漢字には無い文字がよく使われる。同じ音でも偏に想像もつかない文字を使っている事もある。漢字は一文字づつ意味が有るので、どんな意味があるのか使っている坊さんに聞いてみたいと思う時がある。IMEパッドがあるのでこんな時はフル活用するが、時には造字しなければならない時もたまにはある。
 お戒名は短いフレーズの中に亡くなられた方の生き様を集約している、その方の業績や特徴を現してる文字がちりばめてあるものが多い。故人を忘れたくない、あやかりたいと思う人には戒名を読み上げるだけで偲ばれるのだろう。今ある自分をこの世に生み出してくれたご先祖に感謝したい気持ちのある人にとっては大切なものになっているのだろうと思う。
 「戒名香」は安心堂の全くの創作商品で商標登録もしてある。この商品を創って世の中に出した時、想像した以上に喜ばれた方々が居られた。特別に宣伝しているわけでもないが知る人ぞ知ると言う商品になっている、今回のご注文もごく親しくさせて頂いている方からのものですが、念を込めて作らせて頂いた。線香の印刷は版の出来上がりが決め手になる。普通のパッド印刷の版とは違った作り方になるが、それが我が社のノウハウと言ってもよく、昨日は思った以上の出来上がりで我ながら満足のできるものに仕上がった。印刷した姪っ子も綺麗に出来上がって大満足していた。ものづくりの素晴らしさを感じる時はこんな時でもある。
 午前中は版作りで終わってしまったが、印刷が終わった頃、私を見舞いがてらに「未来クラブ」のメンバーでもある区議会議員の方が見えた。普段は来客が多く中々話をするチャンスが無かったが、昨日は久しぶりにゆっくり話し合えた。区も区内産業の変化に対応する為に色々な政策を打ち出しているが、特にものづくりに対しても色々な政策を考えてはいるようだ。ものづくり応援隊を自称している彼なりの努力をしているのが分かった。
 そんな時に夕方のアポのあった人が道に迷っていると電話が入り、区議の先生が自転車で来ているのでエスコートすると言ってお帰りになった。
 見えた方は今は会社勤めをしているが自分でやりたいことがあると言って来られたのだった。彼のやろうとすることでは既に3人ほどの人が見えて我が社の「なんでもくん」を使っていると話した。高精細な印刷が出来るかどうかを確かめに来たようだったが、我が社には世間に無いような緻密な印刷したサンプルも有り、それが自分でも出来るものになるかと喜んでいた。版を作るところから印刷するところまでやって見せたが、十分納得したようだった。自分でも印刷をしてみてあまりにも簡単にできるので自信も持ったろうと思われる。それに商売の仕方についてもアドバイスしたが満足して帰って行った。駅まで送りながら8時過ぎに私も我が家に帰った。
 今日は午前中から浅草に夫婦で買い物行くことにしている。買い物なんて言うのは随分久しぶりの事だが、私にとっては買い物と言うのが一番厄介なことだ。