新製品開発講座の卒業生が講演者になってくれた。40年以上金属プレス加工、シルクスクリーン印刷を本業にしている会社の社長がシリコン製品を開発し、意匠登録まですることができた。今年度のTASKプロジェクト「ものづくり大賞」に応募すれば恐らく何らかの賞を獲得できる事は間違いがないと思われる商品になっている。もう一点自社のデッドストックになっている鏡面金属板を利用したパンダのストラップも意匠登録できた。
 実践者が講演者になって話してくれ、受講者は目の前にサンプルがあるのだから分かり易い、高い講演料を払って話してもらう講演よりも具体的で理解しやすい。何らかのヒントを得てくれたに違いない。
 「あだち品製品開発講座」は毎回プレゼンテーションも訓練されることになっている、大塚講師はこう言う実践的講演者を育てるのがこれからの足立区のものづくり講座の特徴としたいと言っている。人前で話すことに慣れて来ると展示会などで消費者に自分の商品を説明するのも自然に上手になり、消費者の反応を直接受けることになり、売れる商品開発に役立つことになる。
 私は「未来クラブ」などでもいつも注文が来たら注文通りにものを作る下請け体質を改善して、自らの開発製品を直接消費者に販売する事を身につけなければ自らのマーケットを創造できないと話して来ている。売れる商品だとそれを売らしてくれと言う商社も寄ってくる。商社からの注文で造るのとは立場が逆転する、販売価格なども消費者の意向を知っているので自分で決定できる。
 TASKプロジェクトの一般審査は有楽町国際フォーラムで行われ、消費者の審査を受けることになる。専門委員の審査では大した評価でなかったものが一般審査で消費者の多大な評価で昨年大賞になった耳かきがあるが、医療器メーカーが造った耳かきとして人気を博し、従来事業にプラスアルファとして大きく影響している。自分の造った物の向こう側には必ず消費者が居ることを知っているものづくりが出来ることになる。
 入選すると「ギフトショー」「産業交流展」に無料で出展できる特典が与えられる。年に何回か国際フォーラムで展示販売も出来ることになり、人気商品になる可能性をいつも試されることになる。
 「足立ブランド」に認定された物もほぼ同時に同じ展示会で展示される。「足立ブランド」は産業振興課工業係が主催している。「あだち新製品開発講座」は中小企業支援課が主催している。両方とも都の産技研や「TASKプロジェクト」に関連を持っている、区の技術を都の技術として産技研は惜しみなく協力してくれるものになっているから製品の信用度がますます上がることになる。技術の質が上がれば消費者の評価も上がることになる。
 こう言う背景は中小企業に自分の技術に自信と誇りを持たせる事になる。産技研には中小企業では持ちえないハイテクの精密検査器や工作機もある。専門的技術者も大勢いる。先日も当社で大手企業に納入しているものを検査してもらったら大変な技術だと言うのが分かった。大いに自分の提供している技術に自信を持たせてくれた。堂々と大手企業と渡り合える事になる。こちらから売りこんだもので無く請われて納入するのだから価格などもこちらの基準で収められることになる。
 昨年は「あだち新製品開発講座」に区の産業政策課の係長が参加してくれて足立のものづくり構想に共鳴してくれて「足立ものづくり大学」などで話が盛り上がったことがあった。その方は惜しい事に人事異動ですでに居ない。今度の「足立産業展」などもその方が居たらもっと違うものになっていたかもしれない。
 100人キックオフミーティングから始まる「足立産業交流展」は全くの更地から新しい物づくりをするには恰好のものだろう、子供から主婦、大学生、高校生、大学教授まで参加しての試みは大いに盛り上がってもらいたいと思う。
 ところが足立区には長年産業振興を目指して足立工業連合会、足立伝統工芸振興会、足立異業種連絡協議会が「産業まつり」から「あだちものづくりフェスタ」などを継承してきている。異業種連絡協議会などは近年「あだち子供ものづくりフェスタ」などにも協賛して手伝っている、こう言う産業ベースがある。
 今年は例年の「ものづくりフェスタ」の会場が抽選漏れで獲得できなかったので区民祭りとは時期も形も変えた産業政策課主催の「足立産業交流展」になると言う。この数年産業構造が変わり新しい産業振興を考え直さなければならない時が来ているのは理解できるが、このところ徐々に盛り上がって来ている「異業種交流会」「足立ブランド」や「TASKプロジェクト」「マッチングクリエーター」、長年活動してきた工連、伝統工芸等を度外視してのいきなりのユニークな新しい産業交流展はなじみにくいのではないかと思う。
 足立のものづくり全員参加の「足立産業展示会」でなければ盛り上がりに欠けるのではないかと思うが、ただ我が足立区で行われるイベントを呆然と見ているわけにはいかない。参加する限りにおいてはイベントプロの手腕を学習し、次なる我々のイベントに活かすためにもせいぜい努力しなければと思う。