少量のポリエチレン製の袋に印刷したい、だけど専門印刷印刷工場に頼むと最低でも6,000メーター位印刷をしないと受け付けてくれないところが多い。欲しいのは200か300袋なのに小さな袋だと何万袋も出来てしまう。仕方がないのでシールかラベルを貼って間にあわそうとするがそれでも何千かは造らなければならない、しかも張り付ける手間も大変だが見た目も芳しくないし、剥がれてしまう事もある。そんな悩みを持っている人は多い。
 昨日最終にお出でになった方はユニークな男性用のパンツを販売しようと思っているらしいが、その包装袋は透明のポリエチレン製でしかもトライアルとしては200位で済むらしい。種類が何種類かあるので気軽に印刷出来る方法は無いかとネット内を調べていたら私のブログにたどり着いたと言う。私が毎日のようにブログを書いているのも無駄ではないと実証されたようなもので嬉しい話だと思う。
 早速持って来られたポリエチレンの袋にシルクスクリーンとパッド印刷の印刷をして見せた。細かい文字などを印刷するには「なんでもくん」でやって見せた、しかも自分で作った社名を自分で印刷してみた。袋のあちこちに印刷をする度に凄い凄いと声を発していた。専門印刷所でしか印刷出来ないと思っていたものが自分で印刷出来てしまうのだから驚くに違いない、ただ印刷が出来ると言うだけでなくその印刷が簡単には剥がれ落ちないところにも驚きの声をあげていた。他にも金属、ガラス、陶器、ゴム、木、プラスチックなど色々なものに印刷してあるのを見て一層驚いていた。
 やはり来て見て良かった自分の知らない世界を垣間見て今自分のやっていること以外にも目を開かせてもらったと言って喜んでいた。
 取りあえず最初の200袋は安心堂で印刷してもらいたい、そして慣れるに従って自分で印刷をするようにしたいと言っていた。
 自分独自の製品を販売して自分のマーケットを持つ、そう言った努力をする人が当社を訪れることが多い。そう言う人達と接することでこれからの日本の経済のあり方が少しづつ見えて来る。従来的なものの見方では将来を予測できない。ものを作ったことのない人が新しいものを作ろうとしている、新しい生き方を模索している。そう言う人が多くなればなるほど日本が変わって行くことになるだろうと思う。
 8月4日に当社を訪れる人が決まった。20人ほどの人が当社の現場を見に来るのだが、親子もいれば友達同士もいる、子供もそうだが親がものづくりに関心を持っているのが多いと聞く。区が企画したものづくり見学ツアーだが、身に来た人が町工場を見て何を感ずるかが一番興味を引くところだ。その後の感想なりが私の仕事の今後のヒントになると思う。
 このツアーは「迷路の街に潜む『ものづくり集団』を探ろう 〜ねぇ、知っている?足立の工場には秘密が眠っているって!?〜」と言う企画で来る。足立でも色々な良い取り組みあるが地道だが一番重要なものに発展すると思っている。子供等にものづくりに関心を持ってもらうのが一番だが大人がそれを理解してくれないと子どもの教育に役立たないと思うからだ。町工場の持っている技術がいずれまた日本のものづくりの原点になる時が来ると思っている。
 ハイテクでは出来ないものがローテクで出来るものも多い。その違いの一番は心だと思っている。手と手、心と心がものを言う時代が来ている。個々の時代と言う人もいる、心の時代と言う人もいる。大量に生産して大量に売って大儲けしようと言う人は当社には来ない、どのようなものを作れば人が喜ぶかを模索している人が多いと思う。人を喜ばせるのが楽しいと言う人が多いように思える。
 今回のツアーでは大人が来る、大人が当社が作った「焚経香」にどのような反応を見せるか、あるいは買って行きたいと言うような人が出れば面白い。ものづくりを専業としているものが消費者に直接物を売ると言う構図が生まれ出ることになる。奥に引っ込めていたものをさりげなく表面に出してみよう、それを見てどんな反応をするかが一番の関心事だと思う。