生まれて初めての海外旅行から昨日家内が帰ってきた、楽しかったようで興奮気味に話をしている。ハワイあたりは日本人が多くまた親切な外国人が宿泊していて丁寧に扱われ感激したようだ。私への土産は帽子だった、洒落た野球帽のようなものでかぶり易いものだった、以前親しい同級生に買ってきてもらったものと同じスタイルで亡くなってしまった友を思い出した。あの人にこの人にと持ちきれないほどの土産を買ってきた、まさに買い物ツアーに行ってきたみたいだ。ここ数日静かだった我が家がフリーマーケットのように色々な品物が陳列され狭い部屋が一杯になった。
 私が海外からの土産物を初めてもらったのは高校時代にアメリカ製のパーカーの万年筆だった、舶来品だと言って皆から羨ましがられたものだった。当時はロンソンのライターやオメガの腕時計と共に大人の社会では3種の神器とか言われて珍重されていた。私はプラチナの万年筆を使っていたがパーカーの滑るような書き味は一味違ったのは事実で彼我の差を大きく感じた時代だった。今やメードインジャパンはその品質においては世界でも安心なブランドに成長している。当時は外国製品を真似て一生懸命今の中国のように偽物を作っていた。
 私が就職した年は東京オリンピックが開催され、私は大阪で証券マンとして新規開拓を一生懸命していたのだが、ある客からアメリカ製の合皮のサンプル帖を渡され、あんた大学出ているのだからこれ翻訳してくれ、と手渡された。大学を出ていたら英語が分かるという短絡的な見方が大笑いだがとりあえず分かる部分だけ訳して手渡したが、数ヵ月後には品質的には劣るが似て非なる物を造り模造品を売り出していた、そのお客さんはその後大成長し、私の営業成績にも大きく寄与してくれることになった。ゴルフもやり始め私をコーチしたくて何度もゴルフ場に連れて行かれとうとうゴルフ道具を買う羽目になり、当時サラリーマンではめずらしい事だがゴルフに親しむことになった。
 真似から始まって本物を作り出す、これは全てのことに通じることである。今の中国は日本の真似をしているが本物以上の物が出来る時代が来るかもしれない。人間も子供が大人の真似をして本物になる、子供から真似されるような大人にならなければならないと思う。