私は毎朝BS2で朝ドラの「あすか」を見て楽しんでいる。京都の和菓子職人を主題にしたドラマで、伝統的な京菓子の老舗の浮沈を描いている。職人に一生に一品自分の創った菓子を開発せよと教えている。職人として一時に流行る菓子を創るのではなく京都の伝統を継ぐ京ならではの商品作りを推奨している。この「一生一品」と言う言葉に惹かれる。
 私は「なんでもくん」を一生一品とは言いがたいが、私がやってきた仕事の集大成だ位には思っている。
 私が印刷を手がけたときには印刷業は既に確立していて、私のような素人が印刷業に入ってゆくには余程大きな資力がなければ無理な状態になってしまっていた。それでは普通の印刷屋がやらない分野の印刷しかないので、特徴のあるもの、人がやっていない隙間をどうやって探そうかと苦慮したものである。
 シルク印刷は資本がほとんどいらなく気軽に参入できる分野だった。手軽さが多くの職人が独立する切っ掛けを作り、色んな職人に出会った。最初は彼らを下職に使い、営業を主体に得意先を開発していたが、新参者には当たり前のものなどの注文は出にくく、従来の印刷屋がやらないような注文が多かった。彼らに注文するとちょっと形が違ったり、品質のウルサイ物や工夫のいるものは嫌がった。手軽に工賃を稼げるものを望んで手間の掛かる物はやっても失敗することも多く難儀した、やっと獲得した得意先を手放したくは無い、出来ませんという言葉も発したくない、それじゃあ自分でやるしかない、それが私がインキで手を汚す始まりだったのです。
 取引先のゴルフショップでゴルフボールに当時ちょっと知られたタレントのイラストを印刷できないかと注文され、探し回ったらパッド印刷と言うのが見つかった。それが私とパッド印刷との出会いでした。色んな情報をかき集めているうちに出会ったのがUVインキです。UVのパッド印刷はほとんどの人が放棄した、私は自分のスキルが無いので上手く行かないのかと思い一生懸命研究した結果できるようになった、おそらく20年以上UVのパッド印刷を経験しているのは私以外にいないと思う、それは決して簡単に儲かると言うことにつながらなかったからです。
 昨日は先週連絡のあった福祉施設の施設長から電話が入り、「なんでもくん」導入の話しが具体化してきた、来週には研修をかねて来社するようだ。
 近くの「なんでもくん」を購入した名刺屋さんが縁でなんと旧知の版下屋を経営していた人が来た。大繁盛していたときもあったが今は廃業して失職しているらしい、印刷には詳しいので「ギフトショー」を手伝ってもらうことにした。結果が良かったら社員に雇うつもりだ。
 合間を見ながら先週手に入れた小型の水銀ランプを組み込みUV乾燥機のプロトタイプを造った、木工で内張りに金属板を貼り付けた全くの手作りだけど自分では満足している。私のブログを読んで頂いている方からCDのテストピースが送られてきている、今日はそれをテストしてみようと思う、良い結果が出ると良いのだが。
 場内では中国で印刷し返品になった石の印刷を「なんでもくん」を使ってやっていたが、同じインキを使って出来上がりが全く違うものになり、家内を始めパート連が皆鼻高々になっていた、パートといえども日本人のものづくりにプライドを持っているようで嬉しかった。今日色んな形をした鈴に印刷をする依頼が大量に入ったが彼女らだったら心配ない。なんでもくん戒名香